私たちは、毎日、家で500g近いごみ(500mlペットボトル1本分くらい!)を捨てています。そのうち生ごみは、40%近いとも言われています。自分たちに何ができるでしょうか?まずはいろいろと調べていましょう。
1.ごみの量
(令和4年度、環境省のデータをもとにしています)
①大きく2つ
☞一般廃棄物:市区町村が処理
約4,000万トン
☞産業廃棄物:事業者が処理
約3億7,000万トン
↓
②一般廃棄物も大きく2つ
☞生活系ごみ:家から出る
約70%(2,841万トン)
☞事業系ごみ:レストラン・学校などから出る
約30%(1,194万トン)
↓
③生活系ごみは大きく4つ
(正確に計算することが難しいので、わかる範囲で)
☞家庭系ごみ:次の3つを除いた量
約80%(2,275万トン)
☞集団回収量:子ども会や町内会などが集めたごみ
(9万トン)
☞資源ごみ
☞直接搬入ごみ(26万トン)のうち資源利用されるもの
↓
④家庭系ごみを1人1日あたりで計算すると
☞1人あたり:家庭系ごみ(2,275万トン) ÷ 人口(1億2,500万人)= 182 ㎏
☞1人1日あたり:182 kg ÷ 366日(うるう年) = 497 g
(詳細に計算すると496gになります)
(一般廃棄物全てについて計算すると1人1日あたり880gになります)
2.「ごみ」のゆくえ
★一般廃棄物
- 焼却:約80%
- リサイクル:約20%
- 埋め立て処:約1%
★学校の生ごみ
※参考:「環境省(2014)平成26年度 学校給食センターからの食品廃棄物の 発生量・処理状況調査結果」より
※処理量が把握されているデータのみ記載
- 焼却 :14,889 (t/年)
- 肥料化 :14,055 (t/年)
- 飼料化 : 8,590 (t/年)
- メタン化: 382 (t/年)
- 直接埋立: 302 (t/年)
- 炭化 : 35 (t/年)
- 油脂化 : 20 (t/年)
- その他 : 1,009 (t/年)
3.家庭から出る「ごみ」
★種類と量
- 種類:生ごみ、紙、プラスチック、繊維、金属、草木・木片、びんなど
- 量 :京都市の例(令和5年度、京都市情報館Webサイトより)
☞生ごみ:約40%
調理くず26% 、食べ残し7%、手付かず食品6%など(→食品ロス13%)
☞紙ごみ:約30%
☞プラスチック:約10%
★「ごみ」の減らし方(例)
- ごみを減らすための3R活動
3R:Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)
☞リデュース(減らす):必要以上にものを買わない、捨てる量を減らす
☞リユース(再利用する):捨てずに何度も使う
☞リサイクル(再生利用する):使い終わったものを別のものに作りかえて使う - 具体的な例
☞生ごみの水切り
☞お菓子やティッシュの箱の分別→資源ごみへ
☞食べ残しをしない
4.学校から出る「ごみ」
※参考:「環境省(2014)平成26年度 学校給食センターからの食品廃棄物の 発生量・処理状況調査結果」
- 1人あたり1年間の発生量
☞調理残さ :5.6 kg
(野菜くずなど)
☞食べ残し :7.1 kg
☞その他 :4.5 kg
(廃油や分別できなかったもの)
5.「ごみ」の調べ方
★調べ方のヒント
- 種類:生ごみ、紙、プラスチック、びん、缶、金属、家電など
- 種類その2:食品廃棄物、食品ロス、リサイクルなど
- 集め方:燃やせるごみ、燃やせないごみ、資源ごみなど
- 集め方その2:事業系、家庭系など
- 調べる単位:日本、都道府県、市区町村、家庭、1人あたりなど
- 出す人・処理する人:産業廃棄物、一般廃棄物
★おすすめサイト
- 「小学生のための環境リサイクル学習ホームページ」
6.「ごみ」について深く考えてみよう
私たちは、「捨ててしまうもの」を「ごみ」と呼んでいます。
「ごみ」とは何でしょうか?
☞ペットボトルは「ごみ」ですか?
☞お茶のいれものとして使うペットボトルは「ごみ」ですか?
☞新しく作りかえられるペットボトルは「ごみ」ですか?
☞新聞紙は「ごみ」ですか?ビニール袋は?使ったティッシュは?ニンジンの皮は?壊れたテレビは?壊れた傘は?食べ残したご飯は?チョークの粉は?
☞使ってるけども捨てるのは自分ではないものもたくさんあります。
「ごみ」は、できるだけ出さない方がいいですね。
「ごみ」を減らすために、どんなことをしますか?
☞いつか「ごみ」になるものは買わない?
☞ニンジンやジャガイモの皮はむかずに食べる?
☞ニュースは新聞ではなくスマホで読む?その場合、電気を使うことは気にしない?
☞食べ残しはしない。おなかいっぱいでも買ってしまったたポテトは全部食べる?
☞スマホは修理してでも、できるだけ長く使う?
☞スーパーでお茶を買うときは、マイ水筒に入れてもらう?(できるならば)
「ごみ」を捨てると、環境に負荷をかけるとともに、資源を捨てることになりますね。
「ごみ」を減らすためにできることはありますか?
☞燃やして量を減らせば環境負荷は減る?
☞燃やして出てくる二酸化炭素を回収すれば大した問題ではない?
☞深く埋めてしまって、その上に木を植えて森にすればよい?
☞リサイクルできないものは作らなければよい?
「ごみ」になるものが、どのように作られ、どのように使われて、どのように捨てられ、どのように処理されるのかについて詳しく知ることで、自分にできることが見えてきます。
7.コンポストとは
ずばり!「生ごみを肥料に変えたもの」のことです。
★生ごみが肥料に変わるまでの流れはこんな感じです。
①生ごみが土の中に混ざる。
②生ごみを土の中の虫たちが食べる。
虫たち:ミミズ、ダンゴムシ、ダニ、トビムシ、センチュウなど
③生ごみや虫たちの糞や死骸をや土の中の微生物たちが食べる。
微生物たち:カビ、細菌など
④微生物たちが食べて水に溶けるくらい小さくなったものが植物の栄養(肥料)です。
★生ごみをコンポストにする方法はこんな感じです。
※詳しい作り方は「肥料化の確認」ページを見てね。
①コンポスターを準備する
ダンボールやポットなどのいれものに土を半分くらい入れる。
②野菜の皮や食べ残しを集める
卵の殻や玉ねぎの皮は時間がかかります。
プラスチックや金属は分解されません。
液体はやめましょう。
③生ごみをコンポスターにいれて混ぜる。
生ごみの量は、1回あたり土の量の20分の1くらいを週に2回くらいがおすすめ。10~20回くらい入れよう。
④混ぜて待つ
最後に生ごみを入れてから1~2か月待ちます。その間時々混ぜてあげましょう。土は少し湿ったくらいが良いです。
⑤できあがり。
野菜を作るときに1~2割程度混ぜて使います。
8.SDGsとの関係
生ごみのコンポスト化は、多くの目標と深く関係しています。
関連する内容をいくつか紹介します。
目標2:飢餓をゼロに
ターゲット4:2030年までに、食料の生産性と生産量を増やし、同時に、生態系を守り、気候変動や干ばつ、洪水などの災害にも強く、土壌を豊かにしていくような、持続可能な食料生産の仕組みをつくり、何か起きてもすぐに回復できるような農業を行う。
★コンポストは作物の肥料になるだけではなく、土壌中のたくさんの生きもの餌にもなります。また、土壌中の生きものや作物の根っことって、心地よい環境を作り出す働きもあります。
★コンポストを使って食料を生産することは、化学肥料を使って生産する場合と比べて、土壌が豊かになり、様々な環境の変化に強くなり、より長期的な生産が可能になります。
(化学肥料でも上手に使えば持続可能な生産は可能です。)
目標4:質の高い教育をみんなに
ターゲット7:2030年までに、教育を受けるすべての人が、持続可能な社会をつくっていくために必要な知識や技術を身につけられるようにする。そのために、たとえば、持続可能な社会をつくるための教育や、持続可能な生活のしかた、人権や男女の平等、平和や暴力を使わないこと、世界市民としての意識、さまざまな文化があることなどを理解できる教育をすすめる。
目標7:エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
ターゲット7-a:2030年までに、国際的な協力を進めて、再生可能エネルギー、エネルギー効率、石炭や石油を使う場合のより環境にやさしい技術などについての研究を進め、その技術をみんなが使えるようにし、そのために必要な投資をすすめる。
生ごみを燃やさず肥料に変えて使うことで、省エネになり、減らした分を他の人が使うことができるようになります。
★燃やすときに使うエネルギーを減らせます。
★肥料として使うことで、化学肥料の使用を減らせます。つまり、化学肥料を作るために必要な資源やエネルギーを減らせます。
目標9:産業と技術革新の基盤を作ろう
ターゲット4:2030年までに、資源をよりむだなく使えるようにし、環境にやさしい技術や生産の方法をより多く取り入れて、インフラや産業を持続可能なものにする。すべての国が、それぞれの能力に応じて、これに取り組む。
目標11:住み続けられるまちづくりを
ターゲット6:2030年までに、大気の質やごみの処理などに特に注意をはらうなどして、都市に住む人(一人当たり)が環境に与える影響を減らす。
目標12:つくる責任、つかう責任
ターゲット5:2030年までに、ごみが出ることを防いだり、減らしたり、リサイクル・リユースをして、ごみの発生する量を大きく減らす。
野菜の皮や食べ残しをただ捨てると、燃やすことで処分されます。燃やすときには、たくさんのエネルギーが使われてしまいますし、大気を汚すことにつながります。
また、生ごみを資源としてとらることで、捨てずに肥料に変えるというリサイクルが可能になります。